2012年5月30日水曜日


米国の地理の概要 - 第 3 章

人間の活動の基盤

  後にアメリカ合衆国となる土地を、ヨーロッパ人が最初に発見したとき、そこに住んでいたのはおそらく80万人ほどの原住民で、小さな部族単位で生活を営んでいた。

  アメリカン・インディアン諸族の文化には大きな多様性があった。現在のカリフォルニア州沿岸だけでも数百種類もの方言が話されていた。現在のニューメキシコ州に住み南のアステカ族から文化的な影響を恐らく受けていたプエブロ族は定住生活を送り、大規模な灌漑システムを作り上げていた。「グレートベースン」(Great Basin=西部の大盆地)のパイユート族は草ぶき屋根の小屋に住み、野生の食用植物や小型の野生動物を食べて半遊牧民の生活を送っていた。イヌイット族つまりエスキモーは、ヨーロッパ人がアメリカ大陸にやってくる前に出現した民族の中で最も新しく、グリーンランドやシベリアのイヌイット族と密接な文化的つながりを持っていた。

  アメリカン・インディアンはヨーロッパ人の入植地の拡大を妨害することもあったが、多くの場合彼らの影響はごくわずかであった。ヨーロッパ人との直接接触を経験する前に、天然痘やはしかのような外から持ち込まれた感染症で多くは死んでしまったからだ。特に入植が始まった最初の数十年間はインディアンはヨーロッパ人たちに多大な貢献をしたが、ほとんどの場合殺されるか、西部の特別居留地に追いやられることとなった。入植地の辺境が西へ向かうにしたがい、アメリカン・インディアンとその特別居留地もまた西へ移っていった。

入植パターン

  ヨーロッパからそして数は少ないがアフリカからどれだけの数の人々が現在の米国に移住したのかを正確に述べるのは不可能だが、6,000万人近いとみるのが妥当な推計だろう。

  最初にやってきたのは北西ヨーロッパからの移住者だった。1790年に米国で最初の国勢調査を実施したとき白人人口の3分の2以上はイギリス出身であり、次に多かったのはドイツとオランダだった。

  北米への移住の流れは、1760年から1815年にかけて速度が鈍った。この時期ヨーロッパと北米で、また大西洋で断続的に戦争が起きていたからである。1815年ごろから1914年に第一次世界大戦が始まるまでの間、北米への移住は10年ごとに増加していった。

  この1815-1913年という期間のうち最初のおよそ50年間は、相変わらずほとんどの移民が北西ヨーロッパ出身だった。その後の数十年間は南欧および東欧からの移民が流れ込んだ。1913年までには全体の優に5分の4以上が南欧および東欧からの移民で、特にイタリア、オーストリア・ハンガリー、ロシアが多かった。

  このように移民の傾向が変化したのは産業革命の影響によるものである。18世紀にイギリス諸島と北海沿岸低地帯(現在のベルギー、オランダ、ルクセンブルク)で始まった産業革命はその後150年ほどかけて南東方向へ広がった。工業化とともに死亡率が下がり人口が急増した。経済活動は製造業に移行し、都市化が進み、それに比例して農業人口が減少した。都市労働に対する需要の伸びは、潜在的な労働力人口の増加ほど高くなかった。かくして多くの移民が進んで米国へ押しかけることになった。

2012年5月19日土曜日


  • 21歳大学4年の男子です。12月12日から26日までロヴァニエミ近郊でホームステイを体験してきました。フィンランドは、とても良い所でした笑

    私は最初の3日間、ロヴァニエミから北にあるラウダンヨキという町でファームステイしていました。そこは、人口の光が少なく、オーロラ観測には絶好のスポットと聞いていました。実際にいってみると、そうでした。しかし、滞在中は、天候に恵まれず、オーロラを見ることができませんでした。けれど、ファームステイが楽しかったので、悔いはありません笑っ

    サンタクロース村もステキな所でし� ��よ。ただ、私は半日あれば、十分かなという印象を持ちました。ご旅行がお二人なので、もし、サンタさんと写真を撮るなら、1枚25ユーロの写真を買うより、約50ユーロのUSBデータ画像を割り勘で購入したら良いかなと感じます。あと、ロヴァニエミの町の中心へ往復バスがありますが、本数が少ないので、サンタクロース村に着いたときに入口にある「インホメンションセンター」で確認されることをおススメします。

    私は、オーダーメイドの旅行会社に依頼していきました。ロヴァニエミでは、車が必須に感じたので、moimoi号や私がいった ような家の外にでればすぐオーロラが見れるような所が良いのかなと今、思っています。moimoi号は利用しなかったのでわかりません・・・ごめんなさい。

  • 2012年5月17日木曜日


    『ツイン・フォールズ・アイダホ』の初日が決定いたしました。

    『ツイン・フォールズ・アイダホ』
    作品WEBサイト →

    【公開初日】
    7/29(土)

    【タイムテーブル】
    14:20/16:40/19:00/21:20
    ※9/4以降上映の場合、時間変更あり

    【情報】
    ■特別鑑賞券発売中(窓口にて7/28迄)※ポストカード付き
    一般 ¥1,500/ツイン・チケット(2名様分) ¥2,800

    2012年5月16日水曜日


    ご案内    当ブログ内の記事を整理分類しました。ここから、お好みの記事をお探し下さい。
     

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    本文開始 (この記事はご案内の D 「木工造作の部品」の記事 に分類されます)

    2012年5月14日月曜日


    はじめに、

    俺はサウジアラビアにいったことはない。

    ポートランドの大学に通っているときの話。

    ポートランドについては前回のブログを参照。

    ポートランド州立大学。

    俺が進学した大学だ。

    ここは普通のアメリカ人の学生が多いほか、海外からの留学生が非常に多い。

    その中で、サウジアラビアからの留学生が特に多く、どんなアメリカ人の生徒でも、友達に一人はサウジアラビア人がいるぐらいだ。

    おれもサウジアラビア人の友達が何人かいた。

    その中の一人、Fから受けたカルチャーショックについて書く。

    2012年5月13日日曜日


    ニュース

    「窒息死」の検索結果12件中1〜10件を表示しています。

    2012年5月11日金曜日



    by hillsieboy

    南アメリカにあるベネズエラの世界遺産、カナイマ国立公園。

    そこには100を超えるテーブルマウンテン(頂上がテーブルのように平坦になっている台地)が立ち並ぶギアナ高地があり、その中でも最大の大きさを誇るアウヤンテプイという山から流れ落ちる滝がエンジェルフォール(Angel Falls)です。

    落差978mという滝の常識を逸脱した世界一高い滝で、落差がありすぎて地面に落ちる途中に水が霧散され、水が地面に叩きつけられる事が無いため、滝壺が存在しません。

    2012年5月8日火曜日


    那須の御用邸用地の一部(といっても560haもあります)が5月22日より那須平成の森として一般公開されることとなり現在開園に向け整備準備中ですが、先行公開として「駒止の滝観瀑台」がオープンしました。

    この観瀑台は北温泉の駐車場に隣接しています。駐車場で車を降りれば横が観瀑台です。
    グレートフォールズの居酒屋のMD
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    駒止の滝全景。観瀑台からの距離700m、高さは20mです。木々の奥深くに隠れるようにあったため、今まではザイルなど本格的な山装備がなければ見物できない幻の滝でしたが、今回周辺を整備して崖の上に観瀑台を設置し、誰でも気軽に見ることができるようになりました。感謝!
    ナイアガラの滝動物園
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    余笹川水系を源とし、その滝壺はエメラルドグリーンに輝くといわれてますが、ワタクシにはターコイズブルーに見えます。いずれにせよ大変美しいですが。

    駒止の滝は二段になっていて、上の滝壺もこれまたキレイです。
    危険な滝を生き延びた人々
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    駒止の滝へは那須岳ロープウェイへの道の途中から北温泉の看板を目印に曲がってください。那須岳はまだ冠雪が融けきっていません。暖かい服で行きましょう。

    これまで大切に保護されてきた旧那須御用邸用地を一般解放した「那須平成の森」。新緑に包まれての来月のオープンが今から楽しみですね!

    <今日のりんちゃん>



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    Wappingers Falls Weather - Wappingersの滝 天気 天気予報

    2012年4月28日 ... Winds WNW at 10 to 15 mph. Chance of r. 月曜日. Day: Partly cloudy. Highs in the low 50s and lows in the low 30s. ラズベリー滝、バージニア州. 火曜日. Day: Mostly cloudy. Highs in the upper 50s and lows in the mid 30s. 水曜日 ... read more

    花嫁候補 牧場物語ふたごの村

    ラズベリーの愛情度が10000以上. 答え, 大丈夫だよ、楽しかった♪. プロポーズ. 場所, どこでも. 曜日, いつでも. 時間, いつでも. 天気, 晴れ・雪. 条件, ハワード・カミルの友好 度が30000以上. ダブルベット購入済み. その他, ハワード・カミルの友好度アップ ... read more

    2012年5月7日月曜日



    【テレビでは絶対に言わない】節電対策
    テレビを消すべし!

    【話題】駒澤大学の山口浩准教授 「夏の電力ピーク時にテレビ放送を休止してはどうか」

     

    夏の節電で「テレビ休止」論 放送界の反応は冷ややか
    J-CASTニュース 4月30日(月)9時43分配信

     原発事故の影響で、今夏も全国的な電力不足が懸念されている。そんな中で、電力を食うテレビ放送の一時休止を求める声も相次いでいるが、放送界の反応は冷ややかなようだ。

     事故後、初めての夏を迎えたときも、節電を呼びかけるテレビ局に疑問を感じ、いっそ放送を一時休止にすればいいとの声が、ネット上で渦巻いた。

    ■夏の電力不足対策に、識者らが休止論

     そして、2度目の夏を迎えようとしている今、原発稼働が難しい中での電力不足が報じられ、再び放送休止論が沸き起こりつつある。

     「夏の電力ピーク時にテレビ放送を休止してはどうか」。駒澤大学の山口浩准教授は2012年4月24日、こんなタイトルでブログを書いた。

     山口准教授はそ の中で、テレビとエアコンで家庭の消費電力のかなりの割合を占めており、電力需要がピークになる午後2~4時に放送を休止すれば、相当な節電効果があると説いた。そして、エアコンを消して外出し、街中で過ごすようにすれば、さらに効果が期待できるとしている。非常事態の時は、ラジオに役割を果たしてもらえればいいという。

     もっとも、放送を休止しても、テレビでゲームをしたり、DVDを見たりすると効果がなくなってしまう恐れも指摘した。そこで、テレビ局がそうしないようキャンペーンを張ってもらえばいいとし、そのためにも、自ら身を切る勇気を見せてはどうかと提案した。

     スポンサーも、放送休止に協力すれば、企業イメージのアップにつながると言っている。

     この提言は、早速反響を呼んだ� �コメント欄には、「あり得ない!」「私なら、録画したドラマ観そう」といった声もある。しかし、「大賛成」「再放送の連続、意味のないお笑いが多すぎる」「それで何か困るとも思えないな」などと賛同する向きは多い。

    ■「テレビを消すよう呼びかける必要ない」

     放送界でも、放送休止論に理解を示す発言も一部で出ている。

     フジテレビ系「とくダネ!」司会の小倉智昭さんは、昨年4月14日の放送で、民放各局が輪番制で午後の時間帯に放送休止する対策もあり得るとの考えを示した。節電について、「テレビ局はどうなんだという話が絶対出てきます」とも言っていた。

     しかし、これまでのところ、放送界では、表立った動きは見られない。

     民放連の会長室広報担当者は、取材に対� �、「現時点で、対策は検討していません。今後についても未定です」と話す。

     11年のときも、輪番での放送休止を求める意見などが寄せられたというが、特に検討はしなかったとした。

    2012年5月5日土曜日


    テムズ川に沿って
    Along the River Thames



    ロンドンを流れる川といえば、テムズ川です。テムズ川の水は美しく澄んだ水ではありません。ロンドンのどんよりとした曇り空と同じように、何となくどんよりと流れているような気がします。

    ロンドンとテムズ川の関係は、東京と隅田川、荒川、あるいは神田川等の川との関係とは大きく異なると思います。東京(江戸)とそこを流れる川の歴史よりもずっと古い歴史を持っているからです。

    ローマ時代、すでにロンドンはブリテン島の中心的都市でした。そして、テムズ川に最初に橋をかけたのは、ローマ人であり、それは現在のロンドン・ブリッジのあたりでした。このあたりが選ばれたのは、それ以上下流になると地盤が悪く、橋の建設に適さないと考えられたためです。
    ロンドンの政治・経済・観光の中心は、テムズ川の少し北側にあります。ウェストミンスター(東京でいえば霞ヶ関))、ウェスト・エンド(同じく銀座・日比谷)、シティ(同じく大手町・丸の内・兜町)とよばれ� �地区はみな北側です。

    そして、ロンドンの重要な建築物は、その多くがテムズ川沿いまたは近いところにあります。近代的なテムズ・バリアや有名なグリニッジを過ぎ、ドック・ランズの高層ビル群を過ぎると、タワー・ブリッジがあります。タワー・ブリッジは、七つの海をまたにかけた日の沈むことのない大英帝国の象徴であり、海からのロンドンへのゲートとなっています。

    2012年5月4日金曜日


    未だにデマに騙されている人へ 

    ISD条項によって主権が侵害されるとか、未だにデマに騙される人が後を絶たない。 ISD条項が危険だと言う人は、酸性雨の主成分で、海岸線を浸食し、温室効果を引き起こし、毎年多数の死者を産むDHMOも規制するよう呼び掛けるべきだろう。

    デマ 真実
    歴史NAFTA(1992年12月署名)で初めて導入された。1960年代に投資協定が結ばれ始めた時点から協定に備えられていた(詳細後述)。
    導入目的自国企業がその投資と訴訟のテクニックを駆使して儲けるため。協定違反への対抗手段(詳細後述)。
    国家主権国家主権が犯される事態がつぎつぎと引き起こされている。原理的に国家主権を犯すことはできないし、犯された事例もない(詳細後述)。
    手続中立性に欠け、かつ、十分な審理が為されない。制度的にも極めて中立的で、審理も充分に為されている(ISD条項詳細解説)。
    仲裁結果常に米国に有利な結果が出る。公開された仲裁結果には、とくに米国が有利とする証拠がない(詳細後述)。
    米韓FTA韓国にだけ適用される。双方に適用される(米韓FTAのデマ)。

    ソース付きでデマを解説しているページを見ても、洗脳が解けない人がいるのは驚きである。 中野剛志准教授らの主張がデマだと分かった後も「ISDが濫用される危険性がある」と言い出す人はTPP洗脳継続の原理を読んだ方が良い。 まともな判断力がある人なら、常識的に考えてあり得そうもないことが事実だとする主張を見て、それを検証もせずに鵜呑みにはしない。 出典を確認することまでは叶わなくとも、反対意見に目を通すまでは判断を留保するのが、常識人の行動である。 その他、中野剛志准教授らの主張には自己矛盾も多々あり、少し注意深く文章を読めば、その胡散臭さにはすぐに気がつくはずである。 CIAの文書に「人々にUFOを信じさせなくする方法」(嘘に真実を少しだけ混ぜた噂を流しておいて、しばらくしてから嘘をばらすと人々は白けて関心を失う…とか)というものがあるらしいが、中野剛志准教授らの主張はその第一段階そのものにしか見えない。 どうでもいいが、調べてみたらこのCIAの文書は実在しないらしい。国防のために未確認飛行物体を調査したロバートソン委員会のまじめな報告書だったのに、何処をどう取り違えたのか「UFOを馬鹿にするように大衆を洗脳する作戦=プロジェクト・ディバンキング」として噂が広まったらしい。

    補足しておくが、次の3つは全くの別問題である。

    • TPPに賛成すべきか反対すべきか。
    • 中野剛志・東谷暁・三橋貴明らが完全なデマを流布していること。
    • 人々を扇動するためにデマを流布して良いかどうか。

    中野剛志准教授らの主張がデマであることは、TPPに賛成すべき理由とはならない。 そして、仮に、TPPに反対すべきだったとしても、それはデマを流布して良い理由にはならない。 TPPに反対していることが問題なのではなく、反対する手段としてデマを流していることが問題なのだ。 本当にTPPに反対すべきであるならば、デマではなく、反対すべき真の理由を説明すべきである。

    TPPに懸念事項があるのは事実だが、それは次の4つに大別される。

    1. ほぼ確実に起こる懸念事項
    2. 確実でないが警戒すべき懸念事項
    3. 可能性がないとは言えないが警戒するほどでない事項
    4. 現実的にあり得ない事項

    たとえば、漁業補助金の原則禁止は1番目、例外なき関税撤廃は1〜2番目である。 しかし、それら以外の反対派の主張の多くは3〜4番目である。 中野剛志准教授らの流布するデマはほぼ4番目(現実的にあり得ない事項)である。 「ISD条項によって主権が侵害される」などというデマを信じている人は、より簡潔にISD条項を説明したISD条項詳細解説を読むことを勧める。

    こちらのページは、中野剛志准教授らの流布するデマに対して個別に反論することを目的としているので、全体として何が言いたいか分かり難いかも知れない。 簡潔明瞭に分かりやすい説明を必要とする人は、ISD条項詳細解説を見てもらいたい。 ISD条項にも手続的には瑣細な問題がないわけではない。 しかし、中野剛志准教授らの主張するような国家主権の侵害だの治外法権だのの類いは完全なデマである。 国家主権は国際法に沿った範囲で認められるのであり、国際法に違反する国家主権など初めから存在しない。 存在しないものを侵害することなど不可能である。

    尚、中野剛志准教授には故意にデマを流布している疑いがある。 早稲田大学政治経済学術院の若田部昌澄教授によれば、中野剛志准教授は きわめてきっちり経済学を理解して よりよく生きるための経済学入門第14講TPP再説とグローバリゼーションP.1 - 筑摩書房 自説にふわさしい理論を的確に選んで 「そう言われればそうかな」と思ってしまうようなところを突いて論を展開してくる 反面教材としてはなかなか悪くない よりよく生きるための経済学入門第14講TPP再説とグローバリゼーションP.6 - 筑摩書房 人だそうだ。

    国際投資仲裁/投資家対国家紛争(仲裁)に関する条文(ISDS条項又はISD条項) 

    TPPお化けとして、ISD条項が国民皆保険制度を崩壊させるとするものがある。

    ISDとはInvestor-StateDisputeの略で、「投資家対国家間の紛争」。
    外資が損害を被ったと判断した時、相手国を提訴できるのがこの条項。
    「国民皆保険制度」の存在が、外資保険会社に損害をもたらした、と外資保険会社が判断すれば、日本国政府を訴えることができるというとんでもない条約。
    そして、裁定は世界銀行傘下にある非公開仲裁委員会で行われるため、上訴することは不可能で、強制力を持つ採決となります。
    すなわち、訴訟されれば日本国政府は莫大な賠償金を支払わなくてはならなくなります。
    保険に関わらず、何にでもイチャモン付ける事が可能な印籠。

    目を覚まして - 楽に生きる

    結論を先に言えば、「何にでもイチャモン付ける事が可能な印籠」は大嘘であり、この「外資保険会社」の訴えは通らない。 その詳細は後述する。

    このISD条項についても、もちろん政府マスコミは口を塞いでいます。

    目を覚まして - 楽に生きる

    これは全く事実に反している。

    役所も国会議員も秘書も、ちゃんと説明する人は説明しているのである。 個人のブログまで探せば情報はいくらでもある。

    事実、検索エンジンで検索してもほとんど検索結果が出てこないような状況。

    目を覚まして - 楽に生きる

    「検索エンジンで検索してもほとんど検索結果が出てこない」のは検索ワードが間違っているかららしい。

    なお、経済産業省をはじめとする我が国政府の公表資料では、「ISD条項」という表現は使われておらず、「投資家対国家紛争(仲裁)に関する条文」といった表現が多く使われている。 また、これを含んだより広い概念として「国際投資仲裁」という用語も使われる。 よって、「日本政府はこれまでISD条項について無防備だった」という物言いも正しくない。 そういう非難をする者が、ググるときにキーワードを正しく設定していないだけなのだ(笑)

    「ISD条項」についての考察 - イザ!

    仲裁定手続 

    このISDとは、ある国家が自国の公共の利益のために制定した政策によって、海外の投資家が不利益を被った場合には、世界銀行傘下の「国際投資紛争解決センター」という第三者機関に訴えることができる制度である。

    しかし、このISD条項には次のような問題点が指摘されている。

    ISD条項に基づいて投資家が政府を訴えた場合、数名の仲裁人がこれを審査する。 しかし審理の関心は、あくまで「政府の政策が投資家にどれくらいの被害を与えたか」という点だけに向けられ、「その政策が公共の利益のために必要なものかどうか」は考慮されない。 その上、この審査は非公開で行われるため不透明であり、判例の拘束を受けないので結果が予測不可能である。

    また、この審査の結果に不服があっても上訴できない。 仮に審査結果に法解釈の誤りがあったとしても、国の司法機関は、これを是正することができないのである。

    米国丸儲けの米韓FTAからなぜ日本は学ばないのか 中野剛志[京都大学大学院工学研究科准教授] - ダイヤモンド・オンラインP.4

    これも故意に誤解を生む表現が使われている。 この文章では、あたかも中立性に欠け、かつ、十分な審理が為されないように見えるが、実態は真逆である。 「審理の関心は、あくまで『政府の政策が投資家にどれくらいの被害を与えたか』という点だけに向けられ、『その政策が公共の利益のために必要なものかどうか』は考慮されない」に至っては、真実と真逆の完全なデマである。

    デマ 真実
    中立性仲裁機関が米国の支配下にあるので米国に有利な判断になりやすい。当事者それぞれの推薦各1名と双方合意の1名の計3名が仲裁人となる極めて中立な人数構成。
    審理対象「政府の政策が投資家にどれくらいの被害を与えたか」という点だけ。協定違反の有無と効果を判定する。
    情報公開審査は非公開で行われるため不透明。ICSID仲裁では、仲裁判断の法的判断の要約は必ず公開されるし、仲裁判断そのものも相当数が公開されている。絶対的に非公開であれば中野准教授らが挙げた具体例はどうやって情報を得たのか?
    判例拘束判例の拘束を受けないので結果が予測不可能である。協定内容からの結果予想は可能。先例を参照する仲裁判断も多い。途上国の裁判所よりは結果を予想しやすい。
    充分な審理上訴制度がないので十分な審理が為されない。仲裁定には当事者の主張の十分な機会を与える義務がある。
    不服申立て上訴制度がないので判断に誤りがあっても正されない。上訴制度は「判断の一貫性」の問題であって、判断の正しさは別問題。解釈・再審・取消制度はある。
    政府関与法解釈の誤りがあったとしても、国の司法機関は、これを是正することができない。仲裁結果を「国の司法機関」が覆せたら協定違反し放題になる。NAFTAでは国内裁判所で取消判断が可能。

    詳細はISD条項詳細解説に書く。

    仲裁定事例 

    NAFTA 

    このISD条項は、米国とカナダとメキシコの自由貿易協定であるNAFTA(北米自由貿易協定)において導入された。 その結果、国家主権が犯される事態がつぎつぎと引き起こされている。


    要するに、ISD条項とは、各国が自国民の安全、健康、福祉、環境を、自分たちの国の基準で決められなくする「治外法権」規定なのである。

    米国丸儲けの米韓FTAからなぜ日本は学ばないのか 中野剛志[京都大学大学院工学研究科准教授] - ダイヤモンド・オンラインP.5

    以下で詳細に検証するが、ISD条項は、協定違反の有無を認定するだけなので、原理的に「治外法権」にはなり得ない。 NAFTAの仲裁定事例には、中野剛志准教授らが挙げた事例にも、経済産業省が公開している資料にも、言いがかり訴訟で企業側が勝った事例は1件も見当たらない。 中野剛志准教授らは、訴えの正当性に関する情報を故意に伏せて、あたかも、「国家主権が犯される事態がつぎつぎと引き起こされている」ように見せ掛けているだけなのだ。 中野剛志准教授は、何故か、事件を特定するために必要な具体的名称を出さない。 「ある神経性物質」「ある燃料企業」「ある米国の廃棄物処理業者」「ある米国企業」と、何の物質か、どの企業か、特定する情報は悉く伏せられている。 金額は具体的に提示しているのだから、うろ覚えで書いているわけではあるまい。 中野剛志准教授は、情報を検証するために必要な事実を故意に隠しているのではないか。 具体的に検証されたら嘘がバレるから、故意に、情報を隠蔽しているのではないか。

    Etyl事件 

    たとえばカナダでは、ある神経性物質の燃料への使用を禁止していた。 同様の規制は、ヨーロッパや米国のほとんどの州にある。 ところが、米国のある燃料企業が、この規制で不利益を被ったとして、ISD条項に基づいてカナダ政府を訴えた。 そして審査の結果、カナダ政府は敗訴し、巨額の賠償金を支払った上、この規制を撤廃せざるを得なくなった。

    米国丸儲けの米韓FTAからなぜ日本は学ばないのか 中野剛志[京都大学大学院工学研究科准教授] - ダイヤモンド・オンラインP.5

    この事件の真相はISD仲裁事例のEtyl事件を参照のこと。 中野剛志准教授の話を真に受ければ、Etyl社がとんでもないモンスター企業に見える。 しかし、中野剛志准教授は重要事実を隠していたのだ。

    • 「MMTの流通を禁ずる新法」はカナダ国内通商協定(カナダの国内法)に違反する法律だった。
    • 「MMTの流通を禁ずる新法」はカナダ国内の州からも提訴された。
    • 国内通商協定違反を正当化するほど危険性を示す証拠は何もなかった。
    • 仲裁定判断が下されたのではなく、カナダ政府が非を認めて和解した。

    この事例は、カナダ政府に一方的に非があった事例であり、企業側の損害賠償請求は正当であった。 また、カナダ政府が法律を廃止したのは、カナダ政府の国内判断であり、ISD条項とは関係がない。 そもそも、和解により仲裁定判断が示されなかったのだから、この事件ではカナダ政府には国外部からの強制力は何ら作用していない。 ISD条項とは無関係に、国内法違反だとするカナダ国内の州からの提訴が認められたから、法律を廃止したのである。 つまり、規制撤廃は完全なカナダの国内問題として処理されており、ISD条項によって国家主権が犯されたとする主張は全くのデマである。

    2012年5月2日水曜日


    ジョージアヨーロピアン トリビアクイズで出題される問題と解答の一覧です。

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