ビタミンC研究者のおもしろテニス交遊記12
12)ストレスと胸仏(むなぼとけ)
人間は果たして何歳まで生きることができるのであろうか。
健康維持のためにテニスやその他のスポーツを楽しんでおられる諸氏には大いにご関心のある
事柄と思うので成書「私たちの体を守る免疫の仕組み」(祥文社)を参考にこの辺の話を紹介しよう。
東洋最古の医学書と言われる「素問(そもん)」や「霊枢(れいすう)」などには、
百歳天寿説が説かれていて、上寿を百歳、中寿を80歳、そして下寿を60歳としています。
人は自分の健康にどんなに気を付けたところで、百歳ぐらいしか生きられず、
逆にどんな人も60歳までは最低生きる能力が備わっていると言うのです。
また、フランスのフルーランスという生理学者は、動物の寿命に関し、その最発育時の五倍説を
説いています。ヒトの場合は、ふつう発育の頂点は20歳から25歳と考えられているので、
寿命の限界は100歳から125歳と言うことになります。
ごく少数の例外的なケースは別として、新聞などで報じられる長寿で死亡した人の年齢を調べて
みると、この辺のところがいい線ではないかと思います。
現在の科学の言葉でいうと、遺伝子であるDNAにそのことがプログラムされていると
言うことになるのでしょうか。驚くべきというか、大変頼もしいことに、この何年間かは、
日本人の平均寿命が男女とも世界一にランクされているということです。
昨年の発表によると、女性は82歳、男性は76歳であると報じられています。
この数字みると、平均値としては、日本人の場合、そろそろ限界に来ていると言うことになります。
私はあなた私は理解して私に笑顔
世界は広く、人間の歴史も800万年と実に長い。
だから、世の中には前述の説に当てはまらない、ギネスものの強者(つわもの)がいることも
事実である。
それでは、記録に残されている限りにおいて、人間として最も長く生き伸びた人は誰で、
そのひとの享年は何歳かご存知でしょうか。
驚くべきことに、きんさんや、ぎんさんのお爺さん、お婆さんの年齢にあたる歳まで生きた人が、
今から約350年前にこの世にいたのです。
洋酒をこよなく愛するひとであれば、スコッチウイスキーの「オールド・パー」という銘柄を
ご存じと思う。このウイスキーの瓶のラベルには長いあご髭をたくわえた品のいい老人の
肖像が描かれています。
そこには、パーおじいさんこと「トーマス・パー」の名とともに、1483〜1635と行年が記されている。
そうです、トーマス・パーは、実に一五二歳の寿命を全うしたのです。
そのために彼の遺体は、英国皇室の墓所として知られるウエストミンスター寺院に葬られ、
一流人の仲間入りをしているのです。
そしてまた、この様に一流ウイスキーのブランド名として、今日まで生き続けているのです。
宣伝はどのように使用されていますか?
トーマス・パーの話をもう少し続けましょう。
彼は亡くなるまで極めて元気で、死亡原因も老衰ではなく、直前に受けた「ストレス」であったと
記されています。スコットランドの片田舎に生まれたトーマスは、102歳のときに、
何と近所の若い娘を強姦し、罪に問われて18年間牢獄につながれました。
服役を終えて出所したのは120歳の時でした。
その彼が、こともあろうに17歳の女性(17歳下の女性ではない)と結婚し、
子供をもうけて世間をあっと言わせたのです。
信じられないでしょうが、信じて下さい。事実なのですから。
そして152歳の時、珍しい長寿者として、英国王室の招待を受け賓客として、
約一週間、ロンドンの宮廷で時を過ごしました。
しかし、田舎もののトーマスにとって宮廷生活は決して楽しいものではなかったようです。
緊張の連続でした。国王への拝閲、金銀食器での格式ばった三度の食事、教養ある立派な
人たちとの会話、どれ一つとってみてもこの老人にとってはストレスの何物でもありませんでした。
不幸なことに、帰郷寸前になって、突然死により、波乱に富んだ、長い人生に幕が降りたのです。
インターネットは私たちの大多数の人々に到達するのでしょうか?
彼の遺体は解剖され、病理学者w・ハーベイにより剖検された結果、肝、腎、心、肺などの諸器官は
青年のように若々しく、また、睾丸は青年と同じ重さで性腺の萎縮も認められなかったのです。
「彼がもし宮廷に招かれず、田舎での平穏な生活を続けていたら、もう60年は生きることが
出来たであろう」とハーベイはその剖検所見で述べております。
また、その未亡人に彼のセックスライフはどうであったかを尋ねたところ
「最近は少し衰えた様だが、140歳までは実に盛んであった」と、答えたと言うのです。
女性なら「そんなの気持ち悪いわ」と言うでしょうが、男性の立場ははっきり違います。
「羨ましい限り」と言うのが偽らざる気持ちです。
以上、トーマス・パーの恐るべき生命力につき紹介しました。
それでは一体、彼の突然死の原因は何であったのか。
記載されながら、当時は気づかれなかったのが、「胸腺の萎縮」と言う病理所見だったのです。
宮廷生活でのストレスにより、∧胸腺∨が叩き潰されていたのです。
胸の痛みという言葉に象徴されますように、昔から、私たちの体には「胸仏(むなぼとけ)」と、
いうものがあって、悲しみや苦しみがあると、胸の中におられる仏様が痛み苦しまれると
言われてきました。
ひとは良心の呵責(かしゃく)にさいなまれたとき「胸がジーンと痛む」ことがあります。
この胸仏こそ、現在の科学で言うところの「胸腺」とい臓器なのです。
胸腺は我々の体を守る免疫機構にとって極めて重要な臓器です。
そして、その胸腺はストレスに極めて弱いのです。宮廷のたかだか一週間の間の生活で、
急速にトーマスの胸腺は萎縮していたのです。
マウスを用いた実験で、24時間金網に閉じこめる(拘束ストレスという)だけで、
胸腺は約半分の重量に減量し、免疫能は著しく低下します。胸腺は実にデリケートな臓器なのです。
余談になりますが、この点に関し、我々の研究から興味ある事実が分かりました。
雄マウスは前述のように、胸腺が叩きつぶされるのですが、雌マウスのそれは比較的打撃が
少ないのです。ストレスに対する生体防御機構は女性に有利にできているのかも知れません。
一過性のストレスでは、萎縮した胸腺は元に戻りますが、毎日、連続的に続くようなストレスでは
元には戻りません。
胸腺の萎縮は、免疫力の低下を引き起こし、普段なら罹らないような感染症にかかり、
また、慢性的にはガンなどの増殖する下地を作ります。
嫌な言葉ですが虐待(ぎゃくたい)と言う言葉があります。親の虐待により、多くの命が
奪われています。日本でも毎年何人かの幼児が亡くなっています。
幼児にとっての虐待という名のストレスは胸腺を極端に萎縮させ、死亡に追いやっているのです。
我々がテニスをエンジョイする目的にひとつは、ストレス解消にあることは自明です。
ああ、それなのに、それなのに、何と言うことでしょう。
テニスでかえってストレスを増幅しているひとをときどき見受けます。
もっと、もっと気楽に行きましょう。そして私にもっと勝たせて下さい。
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つづき ・・・ 13)私のためのワイポイントアドバイス
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